ジェネリック医薬品…最近テレビCMでよく名前を聞くようになったと思います。
薬局で処方箋を渡した時に、「ジェネリックの希望はありますか?」とよく聞かれるけどよくわからない…
お得になるのは聞いたことあるけど、値段が安いお薬はなんとなく不安…
オーソライズドジェネリックってなんだろう…?
ジェネリックとは、後発品とは?
色々な疑問があると思います。
そこで…
それらの疑問に答えるべく、薬剤師のせいまるが、薬剤師の立場からジェネリック医薬品の特徴やメリットについて解説します。
せいまる
それではご覧ください。
この記事でわかること
ジェネリック医薬品とは
ジェネリック医薬品は後発医薬品とも呼ばれます。
ジェネリックについて
先発医薬品(一番最初に開発されたお薬)の特許が切れた後に販売されるお薬で、先発医薬品と全く同じ有効成分を使用して作られたお薬です。
開発に費用がかからないため、先発品と比較して値段を安く販売できるのです。
全く同じ有効成分というところがポイントで、後発品は先発品と同じ有効成分を使って、効き目が同じことを証明できないと販売することができません。
価格の安さが不信感につながる?
値段が安いというだけで、
なんとなく効き目が悪いのではないか…
副作用とか多そう…大丈夫なの?
実際、そういった疑問を持たれる患者さんは少なくありません。
よくある例ですが…
親子で一緒にクリニックを受診され、親子2人分の処方箋を調剤する際にジェネリックについて尋ねると…
「私(自分のお薬)はジェネリックにするけど、この子(子供)のお薬は先発品でお願いします。」
このようにおっしゃる保護者の方がよく見られます。
心のどこかで、「ジェネリックは信用できないので、子供には使いたくない。」と思ってしまっているのではないかと考えられます。
安いというだけで、ジェネリックについて一定の不信感のようなものが感じられます。
そこで次に多くの方が気にしていると思われる、ジェネリック医薬品の品質や安全性について解説します。
ジェネリックの有効性・安全性について
ジェネリック医薬品は、有効成分と効果が同じ(先発品に劣らない)ことを証明しないと販売することができません。
厳しい審査が必要
安定性試験(品質は保たれるのか)・溶出性試験(同じ読度で溶けるのか)生物学的同等性試験(同じように吸収されるか)など、様々な試験を行ってデータを集めます。
そのデータを厚生労働省に提出します。
そして、厚労省の厳しい審査をクリアして初めて、ジェネリック医薬品として発売することが認められます。
つまり、ジェネリック医薬品の効果や品質は国によって保証されているということです。
せいまる
さらに、ジェネリック医薬品が発売された後も、医師や薬剤師、医療従事者お薬の情報を常に集めています。
製薬会社とも連携しながら、集めた情報の交換も行っています。
安心で安全なお薬をお届けできるよう、医療従事者と企業が常に協力しています。
オーソライズドジェネリックとは
略して「AG」と呼ばれることもあります。
一般的なジェネリックは有効成分や効果は同じですが、添加物や工場の生産ラインなどは異なることが多いです。
一方、オーソライズドジェネリックは先発メーカーの子会社などが、特別に許可を得て作るジェネリックです。
医薬品に使用する添加物や工場の生産ラインを同一にしている医薬品もあります。
オーソライズドジェネリックは一般的なジェネリック医薬品よりも、先発品により近い医薬品と言えます。
オーソライズドジェネリックを採用している薬局も多数ございます。
安くなる理由
ジェネリック医薬品は先発品と比較して2〜5割程度の価格に設定されるものもあります。
かなりの割引率です。
先発医薬品(新薬)の開発コスト
新薬の開発には膨大な期間と費用がかかっています。
実際に、1つの医薬品を開発・発売させるには約10年以上の期間がかかります。
開発コストも200〜300億円かかるとも言われています。
そこまでして製薬企業がお薬を開発するのには理由があり、特許が関係しています。
製薬会社は開発したお薬に対して特許を取ることで、20〜25年程度の期間は独占的に先発医薬品を販売することができます。
その独占販売権があるうちに、開発費を回収するということです。
製薬企業も開発費を回収しないと生きていけません。
厚労省も、開発費などを考慮して薬価を設定しますので、先発医薬品の価格は高くなりがちです。
ジェネリック医薬品の開発コスト
一方でジェネリック医薬品は特許が切れた後の有効成分をそのまま使うことができます。
先発品のデータも揃っており、有効成分の効果や安全性がすでに確認されています。
そのため、開発期間も3〜5年程度であり、開発コストも大幅に削減することができます。
先発品と比較して開発にコストがかからないので安く販売できるということです。
厚労省もジェネリック医薬品の価格を先発品の2〜5割程度に設定します。
実際にどれくらい安くなる?
保険診療でお薬を調剤してもらう場合、ジェネリック医薬品を選択することで医薬品代金が安くなります。
代表的なお薬の参考価格
代表的な医薬品を1日1回、1年間服用した場合です。
先発薬品11880円に対してジェネリック医薬品2160円
差額は9720円となり、約8割引の値段になります
先発薬品11880円に対してジェネリック医薬品5400円
差額は6480円となり、約5割引の値段になります
先発薬品29160円に対してジェネリック医薬品10800円
差額は18360円となり、約6割引の値段になります
上記の金額は3割負担でお薬代金のみを計算した場合です。
せいまる
保険の負担費用は変化
実際にはこの価格に保険の負担割合によって窓口負担が変化します。
- 未就学児→2割
- 6歳から69歳→3割
- 70歳から74歳→2割
- 75歳以上→1割
参考:沢井製薬ホームページ
ジェネリックはどうすれば調剤してもらえる?
せいまる
ジェネリック医薬品をお願いする方法はとても簡単です。
希望する方法
薬局で処方箋を渡す時に「ジェネリック(後発)でお願いします。」と言うだけでOKです。
薬剤師も後発品について、進んで説明してくれます。
せいまる
今では、ほとんどの薬局で「ジェネリックにしませんか?」と薬局側から声をかけてもらえます。
また、企業や自治体によってはジェネリック医薬品希望カードやシールを配布している場合があります。
ジェネリック医薬品希望カードを処方箋を一緒に渡したり、お薬手帳や保険証に希望シールを貼っておくのもオススメです。
変更できない場合
ジェネリック医薬品が発売されていれば、ほどんどの場合はジェネリックを希望することができます。
しかし、条件によっては変更できない場合もあります。
- 医師が変更不可にチェックを入れている場合
- 特許の関係で一部の効能だけがジェネリックに認められていない場合
まとめ
ジェネリック医薬品についてまとめます。
- 有効成分や効果は先発品と同じことが国によって保証されています
- 発売後も最新情報が常に集められています
- 開発コストが少ないため価格が先発品のよりも安くなります
- ジェネリック医薬品への変更はとても簡単です
せいまる
お薬代金を節約して浮いたお金は他の楽しみに使いましょう!
最後に…
ここまで書きましたが、ジェネリックの変更希望はあくまでも患者さんの自由です。
もちろん先発品を希望することも立派な権利です。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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せいまる