アトピー性皮膚炎や乳児湿疹の治療では、ステロイドの塗り薬を使用することがよくあります。
そこで、薬局に来局される保護者のママパパさんからよく質問を受けるのが、ステロイドのお薬についてです。
ステロイドの塗り薬を子供が舐めてしまったけど大丈夫ですか?
塗った部分を触ってしまって、そのまま口に入れてしまうことがあります。
安全性は大丈夫?
舐めないようにするにはどうしたらいいですか?
などの質問が多く寄せられます。
実際のところステロイドのお薬と聞くだけで心配される方も多いです。
せいまる
そこで、この記事では皮膚科系薬剤師のせいまるが、赤ちゃんがステロイドを舐めてしまっても大丈夫なのか?
また、舐めてしまわないためにはどんなことに気をつけるといいのかについて解説します。
この記事でわかること
ステロイド塗り薬について
ステロイドを舐めても大丈夫?
ステロイドを舐めても大丈夫なのかという質問には、基本的には「少しくらいであれば大丈夫です」とお答えしています。
その理由について解説します。
軟膏に含まれるステロイドの成分はごくわずか
ステロイドの塗り薬に含まれるステロイドの成分はごくわずかで、お薬のほとんどは基剤(ストロイドの有効成分を含んだお薬を形つくるための材料)です。
せいまる
ほとんどが水(基剤)で食塩(ステロイド)が少し入っているのでしょっぱい味(お薬の効果)がします。
小児のアトピー性皮膚炎などでよく使用されるロコイド軟膏を例に考えてみます。
ロコイド軟膏は有効成分として、ヒドロコルチゾン酪酸エステルというステロイドの成分を含みます。
現在発売されているロコイド軟膏は濃度が0.1%です。
つまり、軟膏1gにつき1mg(1000分の1)の量しかステロイドの有効成分が含まれていないということです。
残りの99.9%は軟膏基剤です。
目安として、軟膏1gは大人の手のひら約4枚分くらいの面積の皮膚に塗ることができる量です。
つまり、お子さんがステロイドの塗り薬を触ってしまって、さらに舐めてしまったとしても、口の中に入るステロイドの有効成分の量は極めてわずかです。
せいまる
また、軟膏の基剤についても、ほとんどはワセリンなどを主成分として構成されており、ほとんど消化されずにそのまま排泄されると考えられています。
食物繊維のようなものとイメージするとわかりやすいと思います。
実際にステロイドの塗り薬のインタビューフォーム(医薬品の公的な文書)にもステロイド外用薬の誤飲では人体にほとんど作用しないと記載されているものが多いです。
つまり、通常使う範囲内では少し口に入ったりしても大きな問題がないということです。
せいまる
ステロイドを舐めてしまわないための対策は?
とはいうものの、やはりお薬を舐めてしまったりするのは心配であると思います。
そこで、塗り薬を舐めてしまわないための対策について解説します。
服で覆えるところは服で覆う
塗り薬を塗った部分を服で覆ってしまいます。
服で覆ってしまうことで簡単にはさわれなくなります。
また、患部を触ったり掻いたりして症状が悪化することも防ぐことができます。
最初の30分程度見守ってから軽く拭く
服で覆うことのできない部分は、どうしても触ったり舐めたりしてしまう可能性があります。
そこで、お薬を塗った後の30分程度は塗った患部をさわらないように見守ってあげます。
30分程度置くことで、ある程はお薬の有効成分が皮膚に吸収されていると予想されます。
その後、お薬を軽く拭き取ってあげます。
お薬を軽く拭いたあとであれば舐めてしまったりしまっても大丈夫です。
お薬を舐めてしまい、どうしても心配な場合にのみ、主治医に相談して了解を得た上で実行してください。
大量に誤飲しないためにはしっかり管理を
乳児や小児に処方される弱いランクのステロイドを少しくらい舐めてしまっても大丈夫ですが、大量に食べてしまっては良くありません。
というのも、ステロイドの成分は大丈夫でも、基剤を大量に摂取することでお腹を壊したり下痢や嘔吐などの症状が出ることがあります。
そのため、食べ物と間違ったり、いたずらに使ったりしないように大人がしっかりと管理することが重要です。
塗り薬に限らず、お薬は子供の手の届かないところに保管しましょう。
まとめ
- 乳児や小児に使用されるステロイドの塗り薬は少しくらい口に入っても大丈夫。
- 患部を触ったり舐めてしまう場合は服で覆ってしまうことも有効。
- お薬は必ず子供の手の届かないところで保管する。
ステロイドのお薬について過度に心配する必要はありません。
しかし、大量に誤飲しないようにしっかりとお薬を大人が管理することが大切です。
ステロイドの塗り薬で注意するべき副作用などについてはこちらの記事で解説しています。あわせてご覧ください。

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せいまる