【薬剤師が解説】ステロイドのよくある誤解を解消【正しい知識を解説】

ステロイドのよくある誤解を解消のアイキャッチ画像

アトピー性皮膚炎をはじめとして、炎症性の皮膚炎の治療ではステロイドの塗り薬による治療が行われます。

治療期間は長期に渡ることは少なくありません。

ステロイドの塗り薬については長期的に使用することで心配に思われる方も多いと思います。

実際に、テロイドの塗り薬を使うことが心配と訴える患者さんも一定数いらっしゃいます。

特に、ステロイドについてはインターネットをはじめとした各メディア上に様々な情報が氾濫しています。

中には必要以上の恐怖を煽るための嘘や、明らかに間違っている情報など、不適切な情報も多くあります。

ステロイドの塗り薬(外用薬)についての情報で特に多いのが…

  • 塗った皮膚が黒くなる
  • 依存性があるから長期間使うとやめられなくなる
  • 骨がボロボロになる
  • 成長が止まる
  • 糖尿病になる

など、キリがありません。

せいまる

安心してください。現在のステロイドの塗り薬の標準治療でこれらの副作用が出ることはまずありません。

この記事では皮膚科系薬剤師のせいまるが、ステロイドの塗り薬(外用薬)によくある誤解について解説します。

ステロイドとは?

ステロイドは副腎皮質ホルモンと呼ばれます。

副腎皮質ホルモンは人の体の中にもともと存在するホルモンの一種です。

副腎という臓器から分泌されるホルモンであり、炎症を抑えたり、過剰な免疫を抑える作用などの様々な作用を持ちます。

ステロイド薬は、その副腎皮質ホルモンをモデルとして開発されました。

皮膚に塗ることで、皮膚の炎症を抑えることができるのは、炎症や過剰な免疫を抑える作用があるためです。

ステロイドの誤解が起きる理由

ステロイドのお薬には大きく分けて塗り薬(外用薬)飲み薬(内服薬)注射のお薬の3つに分類されます。

ステロイドの飲み薬や注射のお薬を大量に使用した場合に起こりうる副作用を、あたかも塗り薬を使うと起きるかのように書いている情報が多いのが現状です。

塗り薬の恐怖を故意的に煽るための不適切な情報の多くがこれに当たります。

故意的に恐怖心を煽ることで自社製品を購入させたり、怪しい民間療法に誘い込むビジネスを目的としている悪質なサイトが多く、注意が必要です。

これがステロイドの誤解を生み出している理由の1つであると考えられます。

アトピー性皮膚炎などの標準治療の範囲で使用するステロイドの塗り薬については、ほとんどの場合で副作用の心配は不要です。

よくあるステロイドの誤解

よくある誤解や患者さんに質問された内容などについてQ&A方式で解説します。

色素沈着が起こるのでは?

ステロイドを塗ると塗った部分が黒く色素沈着するという説は誤解です。

実際に、色素沈着を起こすのが嫌なのでステロイドの塗り薬が出されていたけど塗っていなかったという患者さんも一定数おられます。

色素沈着の原因はステロイドの塗り薬(外用剤)にあるのではなく、炎症が原因です。

炎症が長引けば長引くほど色素沈着は起こりやすくなります。

ステロイドを塗らずに炎症を長引かせてしまうとかえって色素沈着を起こしやすくしてしまうということです。

そのため、お薬をしっかりと塗って炎症をできるだけ早く抑えることが大切です。

依存性があってやめられなくなる?

標準治療の範囲では依存性によってやめられなくなることはありません。

標準治療では、起きてしまった炎症をステロイドで抑えつつ、炎症の原因を除去していくという治療を行います。

ステロイドの抗炎症作用だけに頼るのではなく、スキンケアと炎症の原因の除去を同時に行います。

そのため、炎症の緩和とともにステロイドの使用量を減らしていくのが一般的です。

炎症の状態を確認しながら徐々にステロイドを減量するので、通常の場合ではリバウンドが起きるということもありません。

アトピー性皮膚炎の標準治療についてはこちらの記事で解説しています。合わせてご覧ください。

アトピー性皮膚炎の最新の治療方針を解説のアイキャッチ画像 【薬剤師が解説】アトピー性皮膚炎の最新の治療方針を解説【保存版・ガイドライン】

成長が止まるのでは?

塗り薬の場合、体内に吸収されるステロイドはごく少量であるため、成長に影響する心配はありません。

特に小児にステロイドの塗り薬を使用する場合に、保護者の方から質問されることが多い内容です。

成長に影響を与える場合があるのは、飲み薬や注射のステロイドを乳幼児に対して大量に長期間に渡って投与し続けた場合に起こりうる副作用です。

そのため、通常の使用範囲においてステロイドの塗り薬の使用が成長に影響を与えることはないと考えられます。

ステロイドを塗らないことで、かゆみや炎症が悪化して睡眠が妨害される方が成長に重大な影響を及ぼします。

ステロイドの塗り薬をしっかりと使用してかゆみや炎症を抑え、ゆっくりと睡眠できる環境を確保することが小児の成長にとっては最も大切です。

骨がもろくなる?

骨がもろくなる(骨粗鬆症)についても通常の塗り薬の使用範囲では心配ありません。

骨がもろくなるというのも、ステロイドの飲み薬や注射を長期間続けた場合に起こりうる副作用です。

ステロイドの塗り薬で骨がもろくなる心配は不要です。

糖尿病になる?

ステロイドの塗り薬によって糖尿病になるというのも誤解です。

ステロイドの飲み薬や注射によって血糖値が上がることはあります。

しかし、ステロイドの塗り薬の使用では高血糖を起こす心配は不要です。

緑内障や白内障になる?

緑内障のリスクについては塗り薬を目の周りに塗った場合には起こり得る副作用です。白内障については、ステロイドの副作用ではなく、炎症部位を掻いたりすることによる物理刺激が原因とされています。

目の付近にステロイドを長期間に渡って塗り続けると、まぶたなどの皮膚の薄い部分からステロイドが吸収される可能性があります。

ステロイドが吸収されることで眼圧が上がり、緑内障を引き起こす可能性は否定できません。

緑内障のリスクを減らす方法についてはこちらの記事で解説しています。合わせてご覧ください。

ステロイドの副作用まとめ 【薬剤師が解説】ステロイドの副作用まとめ【使う前に知っておくべき知識】

ステロイドを使い続けるといつか効かなくなる?

この説については賛否が分かれているのが現状です。

ステロイドを使い続けるといつかは効かなくなるという説の真相について、こちらの記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

ステロイドを使い続けると効かなくなる?その真相のアイキャッチ画像 【薬剤師が解説】ステロイドを使い続けると効かなくなる?その真相【アトピー治療】

まとめ

せいまる

ステロイド=怖い薬、ということはありませんのでご安心ください。

ステロイドについてはインターネットやメディア、書籍など情報が溢れています。

残念ながら、その中には不適切な情報も多く含まれています。

そのため、誤った情報に流されてしまうと、治療期間が長引いたり、場合によっては症状がさらに悪化してしまう可能性もあります。

医師・薬剤師との信頼関係を作り、標準治療を継続することが治療への一番の近道です。

せいまる

標準治療を軸として治療を進めた上で、体質改善のための健康法などを調べて取り入れることはとてもいいことであると思います。

ステロイドについて正しく理解するための解説記事もございます。ぜひご覧ください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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せいまる

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