【薬剤師が解説】炎症を未然に予防!プロアクティブ療法の方法を解説【アトピー新治療】

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皮膚の炎症が起きてしまうと、かゆみや見た目上の問題など、悩みがつきません。

誰しもが「炎症を一刻も早く治したい!」と思うはずです。

そこで、近年アトピー性皮膚炎の新療法としてプロアクティブ療法が注目されています。

せいまる

炎症のない状態をキープすることが生活の質を上げることに繋がると言えます。

ステロイドやプロトピック(タクロリムス)の使い方を工夫し、炎症を起こさないように未然に予防する療法です。

皮膚本来の正常で炎症のない状態を保てるのが大きなメリットです。

この記事では、皮膚系薬剤師のせいまるがプロアクティブ療法の方法を解説します。

プロアクティブ療法とは

プロアクティブ療法について知る前に、まずは従来の治療方法について確認します。

プロアクティブ療法と比較して、今までの標準的な治療方法はリアクティブ療法と呼ばれています。

従来の治療方法

従来の治療では、炎症をステロイドを使って押さえ込み、炎症が治るとそこでステロイドをやめるのが一般的でした。

そして、炎症が出てきたら再びステロイドで炎症を抑え込むという繰り返しをしていました。

これが従来の治療方法であるリアクティブ療法というものです。

リアクティブ方法では、炎症が出てきてからステロイドを開始するため、皮膚に炎症がある状態が一定期間できてしまいます。

つまり、かゆみや見た目上の問題が起きている期間があるということです。

また、炎症が繰り返されることで、皮膚のバリア能を保つことが難しく、炎症を引き起こしやすい状態となってしまいます。

このままでは負のスパイラル状態です。

プロアクティブ療法とは

まずは炎症を高ランクのステロイドを使用して、炎症を一旦押さえ込みます。

炎症を押さえ込んだ状態で、低ランクのステロイドやプロトピック(タクロリムス)軟膏を定期的に使用するという療法です。

炎症が出る前に未然に炎症を防ぐことにより、皮膚に炎症がない状態をキープします。

皮膚に炎症のない状態が続くので、かゆみや見た目上の問題も起きません。

また、皮膚本来のバリア能力も徐々に回復してくるので、さらに炎症が起きにくい環境が整います。

つまり、負のスパイラルから抜け出した状態です。

次にプロアクティブ療法の具体的なやり方を解説します

プロアクティブ療法の方法

プロアクティブ療法では、保湿剤とステロイドのみを使用する場合と、プロトピック(タクロリムス)軟膏を追加で組み合わせて使用する方法があります。

どちらの療法も保湿は必ず行います。

保湿剤・ステロイド・プロトピック(タクロリムス)の3つを組み合わせる場合

保湿は一番大切です。

必ず最優先で保湿を行います。

炎症が起きている場合はベリーストロングなどのステロイドにより、まず炎症を抑えます。

ステロイドの強さランキング総まとめのアイキャッチ画像 【薬剤師が解説】ステロイドの強さランキング【一覧表・総まとめ】

ある程度炎症が治まってきたらプロトピック(タクロリムス)軟膏に切り替えます。

炎症が残っているタイミングで切り替えると、プロトピック軟膏の皮膚刺激が出やすくなるので、炎症はできるだけ抑えてから切り替えるようにしてください。

プロトピック軟膏に切り替えてしばらくは毎日塗るようにしてください。

さらに炎症が治まってきて皮膚の症状がほとんどなくなった段階で塗る頻度を2日に1回程度に減らします。

さらに炎症がない状態が続けば、週に2~3回程度の頻度に減らします。

その後は炎症がない状態でも悪化しやすい部分に、週に2~3回プロトピック軟膏を塗り続けます。

プロアクティブ療法の説明の図

マルホ患者さん向けツール「プロトピック軟膏を使用される方へ」3ページの図より引用

※図の中にある寛解とは、治療の成果により症状が出ていない正常な皮膚の状態をさします。

プロトピック軟膏は正常な状態の皮膚からは、ほとんど吸収されないという特徴を持っています。

 

炎症がなく、バリア能力が正常に戻った状態の皮膚に塗ってもほとんど影響を与えないと考えられています。

そのため、プロトピック軟膏はプロアクティブ療法に適していると言えます。

週に2~3回にプロトピック軟膏を使用していて、炎症が出てきた場合は、そこで再びステロイドを使用して炎症を抑えます。

炎症が治れば、またプロトピック軟膏に切り替えて徐々に塗る頻度を下げていきます。

プロトピック(タクロリムス)軟膏は使用上の注意点がいくつかあります。

こちらの記事で、プロトピック軟膏の効果や正しい使い方、副作用の対処法などについてまとめています。実際に使用する場合、合わせてご覧ください。

プロトピック軟膏の効果と正しい使い方のアイキャッチ画像 【薬剤師が解説】プロトピック軟膏の効果と正しい使い方【アトピー塗り薬】

保湿剤・ステロイドの2つを組み合わせる場合

炎症が起きている場合はベリーストロングなどのステロイドにより、炎症を抑えます。

炎症がある程度治ってきたら、ステロイドを2日に1回に減らします。

皮膚の症状がほとんどなくなってからも、週に2~3回の頻度で悪化しやすい部分に低ランクのステロイドを塗るようにします。

炎症が出てきた場合はその時点でステロイドの塗る回数を毎日に戻し、炎症が落ち着いてきたら再び週に2〜3回に戻します。

ステロイドの強さのランクや気をつける副作用などについてまとめています。合わせてご覧ください。

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プロアクティブ療法のメリット

炎症ができる前段階で、炎症を予防します。

そのため、炎症がない状態が長くキープされ、かゆみや見た目上の問題に対する悩みを減らすことができます。

炎症ができにくい肌環境に

炎症がない状態がキープされることにより、皮膚本来のバリア能力が回復してきます。

皮膚本来のバリア能力が回復することで、新たに炎症を起こしにくい肌環境を作ります。

肌環境を整えて最終的には保湿剤のみの使用でコントロールできれば理想的です。

隠れたメリット2つ

プロアクティブ療法には隠れたメリットもあります。

皮膚科に通う習慣がつく

プロアクティブ療法を続けることで、定期的にお薬を塗る習慣が身につきます。

すると、お薬の減るスピードも一定になるので、皮膚科に通ってお薬を処方してもらう必要があります。

皮膚科に通うことで、先生に皮膚の状態をこまめにチェックしてもらえます。

副作用が起きてないかの確認や、その時の皮膚の状態に最適なお薬を処方してもらえます。

これは大きなメリットであると思います。

症状がコントロールできると自信につながる

従来のリアクティブ療法では、炎症が出てきたから仕方なくお薬を塗るというように、消極的な治療方法になってしまいます。

それに比べて、プロアクティブ療法は炎症を起こさないように積極的にお薬を塗ります。

しっかりとお薬を塗って、自らの手で炎症をコントロールしているイメージです。

実際にプロアクティブ療法で炎症をコントロールできれば、治療への自信にもつながります。

プロアクティブ療法のデメリット

いいことだらけのプロアクティブ療法ですがデメリットもあります

お薬の使用量が増える場合がある

症状がなくてもお薬を使用するため、お薬の消費速度が上がります。

そのため、トータルでのお薬の消費量が増える場合があります。

お薬がなくなってしまうこともある

お薬の使用ペースが速くなるので、忙しくて皮膚科に行く時間がない場合、お薬が切れてしまうことがあります。

炎症が残っているときにお薬が切れると、炎症が悪化してしまいます。

お薬が切れる前に計画的に皮膚科に通うことが必要になります。

まとめ

プロアクティブ療法には様々なメリットがあります。

皮膚科の先生に相談すると、適したお薬を処方してもらうことができます。

もうお薬が揃っている場合は、先生に相談して早速実践してみましょう。

  • 炎症が出る前の段階で予防できます
  • 炎症ができにくい肌環境が整います
  • 皮膚科に通う習慣がつき、皮膚の状態をこまめにチェックしてもらえます
  • 症状をうまくコントロールできれば自信につながります

プロトピック(タクロリムス)軟膏はステロイド特有の副作用が出ないという特徴がありますが、使用上の注意点がいくつかあります。

こちらの記事で、プロトピック軟膏の効果や正しい使い方、副作用の対処法などについてまとめています。

プロトピック軟膏の効果と正しい使い方のアイキャッチ画像 【薬剤師が解説】プロトピック軟膏の効果と正しい使い方【アトピー塗り薬】

ステロイドの強さのランクや、気をつけるべき副作用などについてまとめています。合わせてご覧ください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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せいまる

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