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【薬剤師が解説】アトピー性皮膚炎の最新の治療方針を解説【保存版・ガイドライン】

アトピー性皮膚炎の最新の治療方針を解説のアイキャッチ画像

アトピー性皮膚炎と診断されたけどこれからどうすれば…

どんな治療をするのかわからない…

皮膚科でお薬をもらってきたけどどのように治療を進めていけばいいのか…

せいまる

不安なこと、わからないことがたくさんあると思います。

もちろん、お薬を皮膚科医や薬剤師の指導の通りに使用するだけでも大きな治療効果があります。

それに加えて、背景にある治療のスタンダードについて理解していると、さらにうまく治療が進められます。

また、スタンダードの治療について知っておくことで、間違った治療法に気がつくことができます。

そこで、この記事では皮膚科系薬剤師のせいまるが、日本皮膚科学会の最新版のアトピー性皮膚炎診療ガイドラインの標準治療についてわかりやすく解説します。

最新の標準治療方針3つ

アトピー性皮膚炎診療ガイドラインでは、基本的な治療方針として3つの治療方針を定めています。

  • 薬物療法
  • 皮膚の生理学的異常に対する外用療法・スキンケア
  • 悪化因子の検索と対策

これら3つの治療方針を並行して行うことがアトピー治療において最善とされています。

それぞれについて解説していきます。

薬物療法

まずは今起きている炎症をできるだけ早く治すことが最優先です。

お薬によって炎症を抑えつつ、悪化の原因を見つけて対策することが基本となります。

抗炎症のお薬が基本

薬物療法では、基本的に保湿剤による保湿と並行してステロイドの塗り薬で炎症を抑えます。

また、ステロイド以外の炎症止めの選択肢として、プロトピック(タクロリムス)軟膏の選択肢もあります。

最近の薬物治療ではこれらのお薬を組み合わせたプロアクティブ療法が注目されています。

プロアクティブ療法はお薬を定期的に使い、炎症を起こさせずに予防するという療法です。

かゆみや見た目上の問題が起こることを未然に予防しますので、生活の質を向上させることができます。

さらには、皮膚本来のバリア能力も回復しやすくなり、炎症が起きにくい肌環境を整えます。

プロアクティブ療法

まずは炎症を抑えることが先決ですので、高いランクのステロイドを塗って炎症をある程度まで抑え込みます。

そして、炎症を押さえ込んだ状態で、低ランクのステロイドやプロトピック(タクロリムス)軟膏に切り替えて定期的に使用します。

一見炎症が治まったように見えても、皮膚の奥にはまだ炎症が残っていることが多く、またすぐに再燃してしまいます。

そのため、見た目上炎症が治まっている状態でも、定期的にステロイドやプロトピック軟膏を塗ります。

炎症が再燃する前に未然に防ぎ、皮膚に目に見える炎症がない状態をキープします。

皮膚に炎症がない状態をキープするため、かゆみや見た目上の問題も起きません。

また、炎症が起こらないため、皮膚本来のバリア能力も徐々に回復してきます。

よって、新しい炎症が起きにくい肌環境が整うというメリットがあります。

プロアクティブ療法のさらに詳しい手順はこちらの記事で解説しています。合わせてご覧ください。

炎症を未然に予防!プロアクティブ療法の方法を解説のアイキャッチ画像 【薬剤師が解説】炎症を未然に予防!プロアクティブ療法の方法を解説【アトピー新治療】

このプロアクティブ療法が今までのリアクティブ療法の代わりにスタンダードになりつつあります。

皮膚の生理学的以上に対する外用療法・スキンケア

アトピー性皮膚炎では、皮膚が乾燥しやすく、角質の水分量が低下しています。

皮膚の乾燥は皮膚のバリア能力の低下を引き起こします。

また、バリア能力が低下することでアレルゲンが侵入しやすくなり、炎症やかゆみがさらに起こりやすくなります。

保湿のスキンケアを行うことで、角質の水分を保持し、皮膚のバリア能力を回復します。

皮膚のバリア能力が回復すると、かゆみや炎症が再燃しにくくなります。

保湿のスキンケアはステロイドやプロトピックによる薬物治療と並行して行う必要があり、治療において最優先です。

炎症やかゆみが治った後も保湿のケアは必ず続けるようにします。

保湿剤の使い方について詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

ヒルドイドの効果と正しい使い方のアイキャッチ画像 【薬剤師が解説】ヒルドイドの効果と正しい使い方【保湿剤】

悪化因子の検索と対策

薬物療法と保湿のスキンケアを十分に行うことができれば、かゆみや炎症はなくなり、正常な皮膚の状態に治療できることがほとんどです。

しかし、アトピー悪化の根本的な原因について対策を行わない場合、再びかゆみや炎症が再燃してしまいます。

そのため、アトピー性皮膚炎を本当の意味で治療するためには、悪化の原因の対策が極めて重要となります。

特に、室内のホコリ、ダニや、花粉、ペットの毛などの環境アレルゲンによって炎症が悪化することが多いです。

また、お薬、化粧品、金属、シャンプーリンスなどに含まれる成分により、接触性のアレルギーが起きている可能性についても考える必要があります。

薬物療法と保湿と並行して、悪化因子の排除を行うことが大切です。

この他には、汗、環境の変化や心理的な要因など、様々な悪化因子があります。

後ほどの記事でそれぞれの悪化因子について解説したいと思います。

まとめ

以上の3つが日本皮膚科学会の診療ガイドラインに沿った治療方針です。

これらの方針を1つ1つ丁寧に行うことが、アトピー性皮膚炎を治療する上で最もスタンダードであり、かつ最新の治療です。

ガイドラインについて少し知っていると、お薬の目的や普段の生活で気をつけることについて理解しやすくなります。

せいまる

スタンダードについて知り、治療を上手に進めていきましょう。

アトピー性皮膚炎に使用するお薬のステロイド塗り薬やプロトピック(タクロリムス)軟膏についても解説しています。合わせてご覧ください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

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