子供の体調不良などで病院を受診すると、お薬が処方されることがよくあります。
小児の場合では体重がまだ軽いため、大人が飲むお薬の量では多すぎます。
そのため、こな薬やシロップ薬(散剤・水剤)が体重に合わせて計算された量で処方されます。
また、錠剤が飲みにくいという理由もあり、こなのお薬や、シロップの薬選択されることが多くなります。
こなのお薬やシロップ薬は錠剤のお薬と比較して、飲み方や保管方法が特殊であり、戸惑ってしまうこともよくあると思います。
せいまる
この記事では薬剤師のせいまるが、子供のこな薬・シロップ薬の正しい飲み方や保管方法について解説します。
それぞれの大切なポイントについてまとめます。
この記事でわかること
はじめに
お薬は正しく使用されることで、医師の期待する効果が得られます。
必ず医師の指示通りに服用し、保護者の勝手な判断でお薬の用法用量を変えたり、飲むのをやめたりすることは絶対にやめましょう。
思わぬ副作用が出る恐れがあります。
お薬の飲み方について不安な点や疑問点がある場合は主治医またはかかりつけの薬剤師に遠慮せずにお問い合わせください。
また、お子様がお薬を勝手に飲んでしまったり、いたずらに使ったりしてはいけません。
お薬は必ずお子様の手の届かないところに保管し、保護者が責任を持って管理してください。
お薬の種類別の考え方・飲ませ方
お薬には様々な種類があり、目的や重要度が変わってきます。
それぞれのタイプのお薬を解説します。
病気を治すためのお薬
- 細菌感染症に使う抗生剤
- インフルエンザなどに使う抗ウイルス剤
- その他の病気そのものを治療するために必要不可欠なお薬
などがこれに当てはまります。
風邪などの症状を抑えるお薬
- 咳を抑えるお薬
- 鼻水を抑えるお薬
- 喉の痛みや炎症を抑えるお薬
- 痰を出しやすくするお薬
- 整腸剤
などがこれに当てはまります。
頓服薬(一時的に辛い症状を抑える)
- 高熱時に熱を冷ますお薬
- 痛みが強い時の痛みを止めるお薬
- 下痢がひどい時に下痢を止めるお薬
などがこれに当てはまります。
優先順位をつけることが必要
小児の場合、お薬が苦手、病気そのものが辛いなどの理由により、全てのお薬を飲みきることができない場合がどうしても出てきてしまいます。
そんな時は、お薬の中でもより重要なものから優先的に飲んでもらうことが大切です。
そのため、病気そのものを治すために必要不可欠なお薬を先にに飲んでもらいましょう。
症状を一時的に緩和するためのお薬は少しくらい飲めなくても治療に差し支えはありません。
無理して飲ませようとしてお薬が嫌いになったりしてしまう方が治療にとってマイナスになってしまうこともあります。
ある程度、心に余裕を持ってお薬を飲ませてあげるのがうまく治療を進める上でのポイントとなります。
こな薬の飲み方・注意点
こなのお薬は基本的には水と一緒に服用します。
しかし、お薬の味や食感が苦手である場合は飲みにくいことがあります。
場合によっては全く飲んでもらえないこともあります。
そこで、こなのお薬を上手に飲むポイントを解説します。
せいまる
乳児の場合(生後1ヶ月~1歳)
口の中に塗る
こな薬に水を加えてペースト状にして口の中に直接塗る方法です。
- STEP.1小さめの容器にこな薬を出します
- STEP.2水を数滴加えてペースト状にします水分は少なめで大丈夫です。
- STEP.3綺麗な手でペースト状のお薬を口の中に塗ります頬の内側や上顎など、お薬が舌につかないように塗るのがポイントです。
- STEP.4お薬が口に残らないように飲み物を飲んでもらいますしっかりとお薬を流し込みます。
液体状にする
こな薬を水で溶かして液体状にして飲んでもらう方法です。
- STEP.1小さめの容器にこな薬を出します
- STEP.2少しづつ水を加えな液体状に溶かします
- STEP.3液体状のお薬をスプーンやスポイトで飲ませます舌に直接流し込むと苦味を感じたりすることがありますので頬の内側に流し込むのがポイントです。また、お薬を飲ませるときに喉の近くに入れないようにしてください。
むせてしまってお薬を吐き出してしまうことがありますので注意が必要です。
- STEP.4お薬が口に残らないように飲み物を飲んでもらいますしっかりとお薬を流し込みます。
幼児の場合(1~5歳程度)
もちろん乳児の場合と同じように飲んでもらってもかまいません。
可能であれば水で溶かして液体状にしたものをそのまま飲んでもらいます。
飲んだ後はお薬が口のなかに残らないように飲み物などを飲ませます。
飲みににくいようでございましたら、必要に応じて飲食物に混ぜたり、服薬補助ゼリーやオブラートを使用する方法がおすすめです。
飲食物に混ぜる場合の注意点やコツ、服薬ゼリーなどの服薬補助食品の使い方などはこちらの記事でまとめています。あわせてご覧ください。
【薬剤師が解説】子供にお薬を上手に飲んでもらうコツ【粉薬・薬の知識】こな薬の注意点
お薬を飲食物と混ぜる時は必ず1回分のみ直前に作るようにしてください。
作り置きをして長時間おいておくことはお薬の成分が変化したりしてしまう恐れがあります。
シロップ薬の飲み方・注意点
シロップのお薬はあらかじめ甘みのある液体ですので溶かさずにそのまま服用することができます。
飲ませ方
- STEP.1中身が均等になるように振ります泡立たない程度にゆっくり降るのがポイントです。
- STEP.21回分の分量をカップまたはスポイトによってはかり取りますカップやスポイトは清潔に使用しましょう。
- STEP.3はかり取ったお薬を全て飲ませますカップで飲みにくい場合はスポイトで頬の内側に流し込みます
- STEP.4お薬が口に残らないように水などを飲ませますしっかりと飲み込んでもらいましょう。
- STEP.5シロップ剤は冷蔵庫で保管します使用したカップやスポイトを綺麗に洗って乾かします
お薬の味が苦手で飲みにくい場合はジュースなどと混ぜて飲むことも可能です。
シロップ剤の注意点
シロップ剤は水分と糖分を含むため、細菌が繁殖しやすく、注意が必要です。
ボトルやカップは清潔な手で触れるようにして、出来るだけ口の部分に触らないようにします。
また、お薬を飲食物と混ぜる時は必ず1回分のみ直前に作るようにしてください。
作り置きをして長時間おいておくことにより、お薬の成分が変化する恐れがあります。
また、常温で放置することは避け、冷蔵庫で保存するようにしてください。
こな薬・シロップを混ぜる時の注意点
飲食物とは最小限の量で混ぜる
お薬の味を薄めるためにたくさんの飲食物と混ぜてしまいがちですが、その飲食物を最後まで飲みきれなかった場合、お薬の服用量が減ってしまうことになります。
そのため、お薬を飲食物と混ぜ合わせる時は飲みきることができると想定できる量で混ぜることがポイントです。
ミルクや主食に混ぜてはダメ
ミルクや主食にはお薬を混ぜないようにしてください。
お薬を混ぜたことによってミルクなどの味が変化してしまい、ミルク嫌いになってしまう可能性があります。
お薬はミルクや主食(白米など)以外の飲食物に混ぜるようにしてください。
乳児にハチミツは食べさせない
お薬の苦味を隠すために甘いハチミツを使いたくなる気持ちはとてもわかります…
しかし、乳児(1歳未満)にはハチミツを与えないようにしてください。
というのも、蜂蜜の中には乳児ボツリヌス症という重大な病気の原因となる細菌が含まれている可能性があるためです。
免疫がしっかりと出来上がっていない乳児にとってハチミツは危険な食べ物です。
抗生剤は酸味のあるジュースに注意
抗生剤のお薬は抗生物質特有の苦味を隠すために甘みのコーティングを施している場合があります。
コーティングは胃の中などの酸性の状態で溶けるように設計されています。
そのため、酸味のあるフルーツジュースやヨーグルトに混ぜてしまうと、甘みコーティングが剥がれてしまい、かえって苦味が出てしまうことがあります。
抗生剤の中には乳製品と相性が悪いものがあります
また、乳製品の中に含まれるカルシウムと相性の悪い抗生剤のお薬もあります。
乳製品の中に含まれるカルシウムと抗生剤がくっついてしまい、お薬の吸収が悪くなってしまいます。
抗生剤のお薬は決められた量をしっかりと服用することで最適な効果が発揮されます。
お薬の効果が弱まってしまうと悪い菌をしっかりとやっつけられない場合があります。
抗生剤のお薬が処方された時はカルシウムを含む飲食物と一緒に飲んでも大丈夫かどうかを確認することをお勧めします。
せいまる
グレープフルーツジュースに注意
グレープフルーツジュースはお薬の効果に影響を与える場合があります。
お薬の代謝を遅らせることで副作用を強く出してしまう可能性があり、注意が必要です。
お薬をグレープフルーツジュースに混ぜることは避けることが望ましいです。
熱い飲み物も不向き
スープやお味噌汁などの熱い飲食物お薬を混ぜないでください。
熱によってお薬の性質が変わってしまったり効果が弱まってしまう場合があります。
混ぜると飲みやすくなる飲食物
抗生剤などのお薬は酸味のある飲食物との相性が良くないので、甘みのある飲食物がおすすめです。
- アイスクリーム
- チョコクリーム
- ココア
- プリン
- ゼリー
これらの飲食物と混ぜるのがおすすめです。
特にアイスは冷たさで味覚が鈍るのでお薬の味を隠しやすいです。
せいまる
まとめ
こな薬・シロップのお薬の正しい飲み方についてまとめます。
- お薬には病気の原因を治すためのお薬と症状を一時的に抑えるお薬があります。
- それらの優先順位を理解しておくことが大切です。
- たとえ全部飲めなくても大丈夫という余裕を持ちましょう。
- こな薬やシロップのお薬は飲食物と混ぜて飲んでも大丈夫です。
- 混ぜる時は1回分のみを作り、作り置きはしないようにします。
- ミルクや主食を混ぜてはいけません。
- 甘みのある飲食物がおすすめです。
特に、絶対に全て飲ませないといけないというプレシャーから必死になってしまたり叱ったりしないようにすることが大切です。
せいまる
ある程度は心に余裕を持ってお薬を飲ませてあげるのがうまく治療を進める上でのポイントとなります。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
このブログが「役に立った」「いいね!」と感じていただけましたら
あなたの1フォロー、1いいね!が私のブログ更新の励みになります。
せいまる