アトピーのお薬がなくなったけど忙しくて病院にいけない…
虫に刺されてかゆくなった!
湿疹や皮膚炎が急に出てきた!
そんな時に役立つお薬に、ベトネベートN軟膏ASがあります。
ベトネベートN軟膏ASは薬局やドラッグストアで買えるステロイドが入った市販の軟膏です。
ベトネベートN軟膏ASは、ステロイドの「ベタメタゾン吉草酸エステル」と抗生物質の「フラジオマイシン」の2つの成分を配合した軟膏です。
皮膚の炎症や細菌感染症(化膿)に効果があるお薬です。
ステロイドが入ってるとよく効きそう…
塗り方がわからない…
強すぎないか…?
など不安に思うこともあると思います。
せいまる
この記事では、皮膚科系薬剤師のせいまるが、ベトネベートN軟膏ASの正しい使い方や使用する上での注意点や上手に使うポイントについて解説します。
この記事でわかること
ベトネベートN軟膏ASとは
ベトネベートN軟膏ASは、有効成分として、ベタメタゾン吉草酸エステル(ステロイド)とフラジオマイシン(抗生物質)をダブルで配合したお薬です。
第一三共が発売しているお薬で、薬局やドラッグストアで購入することができます。
ベタメタゾン吉草酸エステルの効果
ベタメタゾン吉草酸エステルはステロイドの有効成分です。
炎症やアレルギー症状を抑え、皮膚炎、湿疹、かゆみ症状などに効果があります。
有効成分のベタメタゾン吉草酸エステルはステロイドランクの5段階で上から3段階目の強さに相当します。
そのため、ベトネベートN軟膏ASの強さはstrongクラス(強い)に分類されます。
比較的強めのステロイドであるため、皮膚の炎症を素早く治すことができます。
ステロイドの強さのランキングや使い分けについては、こちらの記事でまとめています。合わせてご覧ください。
【薬剤師が解説】ステロイドの強さランキング【一覧表・総まとめ】ステロイドとは副腎皮質ホルモンとも呼ばれ、ヒトの体の中にもともとあるホルモンの一種です。
副腎皮質ホルモンは、炎症を抑えたり過剰な免疫を調整したりするなどの様々な効果を持っています。
その副腎皮質ホルモンの構造を改良してお薬にしたものがステロイド薬と呼ばれます。
ステロイドの塗り薬で気をつけるべき副作用やその対策についてこちらの記事で解説しています。ステロイドのお薬を使用する前に、こちらの記事も合わせてご覧ください。
【薬剤師が解説】ステロイドの副作用まとめ【使う前に知っておくべき知識】フラジオマイシンの効果
フラジオマイシンはアミノグリコシド系というカテゴリーに分類される抗生物質です。
細菌のタンパク質の合成を阻害することで、細菌に対して抗菌作用を持ちます。
その抗菌作用により、皮膚の感染症(化膿)を防ぐ効果があります。
ネットでも購入が可能
一般用医薬品は医師の処方箋が必要なく、保険も使用しないので、薬局やドラッグストアで必要な時に、必要な分だけ、自由な量を購入することができるのが特徴です。
せいまる
ネット通販などを活用してサッとお得に手に入れてしまうことをオススメします。
ベトネベートN軟膏ASの使い方
1日1~数回、適量を塗ります。
入浴後などに使用するのがオススメです。
塗る量
ベトネベートN軟膏ASの塗る量は一般的なステロイドと同じように、FTU(フィンガーチップユニット)を基準に決めます。
FTUとは、成人の人差し指の先端から、第一関節までの長さ分のお薬をチューブから出したときの量を言います。
成人の手のひら2枚分の面積に対して、1FTUを目安に塗ります。
塗るタイミング
ベトネベートN軟膏ASを塗るタイミングは保湿のお薬と共通です。
皮膚が清潔で潤っている時がより効果的であるため、入浴後の使用が基本です。
1日2回塗るときは朝と入浴後で塗ります。
保湿剤がある場合は、保湿剤を入浴後すぐに素早く広範囲に塗ります。
保湿の後にベトネベートN軟膏ASを、炎症や湿疹ができているところにピンポイントで塗っていきます。
塗る順序のタイムライン
- STEP.1入浴しっかり汚れを落とします。ただし、肌を直接ゴシゴシこするのではなく泡で優しく洗います。
入浴後は柔らかいタオルで軽くポンポンとおさえるように水滴を拭き取ります。
水分を拭く時には、皮膚を強くこすらないようにしましょう。
- STEP.2保湿入浴後はすぐに保湿を行います。
入浴後5分以内が理想的です。FTUを基準にして保湿剤を塗ります。
- STEP.3塗りベトネベートN軟膏ASを塗ります。炎症部分や湿疹部分に、優しく塗ります。 強くこすったり、すり込まない様にします。
- STEP.4手洗い塗った後は手を洗います。
より効果的な保湿の方法については、こちらの記事でまとめています。合わせてご覧ください。
【薬剤師が解説】ヒルドイドの効果と正しい使い方【保湿剤】ベトネベートN軟膏ASの注意点
ベトネベートN軟膏ASは有効成分としてステロイド成分のベタメタゾン吉草酸エステルを含んでいます。
そのため、他のステロイドと同様にステロイド薬に特有の注意点があります。
ステロイドについての注意点についてはこちらの記事でまとめています。合わせてご覧ください。
【薬剤師が解説】ステロイドの塗り方で知っておきたい5つのポイントアトピー性皮膚炎の場合
ベトネベートN軟膏ASはアトピー性皮膚炎の炎症の治療に効果があります。
しかし、アトピー性皮膚炎の場合、皮膚科を受診した上で処方されている塗り薬を使用するのが基本です。
普段から使っているステロイドのお薬を使い切ってしまったが、皮膚科を受診する時間がどうしてもない場合など、臨時的に使う場合のみに限定するようにしてください。
皮膚科を受診せずにベトネベートN軟膏ASを使い続けてアトピー性皮膚炎を治療することは、セルフメディケーションの範囲を超えてしまいます。
なるべく早く皮膚科を受診してお薬を処方してもらいましょう。
セルフメディケーションとは、薬局やドラッグストアでお薬を購入して、自分自身で病気を治療することを言います。
その他の皮疹などの場合
一時的な湿疹、皮膚炎、あせも、かぶれ、虫刺され、とびひなどの症状で、比較的症状が軽めの場合は、数日間ベトネベートN軟膏ASを塗って治療します。
数日間(5~6日程度)使用しても症状が改善されない場合は早めに皮膚科を受診するようにしてください。
ステロイドと抗生物質の成分が含まれているため、だらだら長期間に塗るのは避けるようにしましょう。
また、顔の広い範囲に塗ったり、まぶたに塗ったりはしないようにしてください。
まぶたなどにベトネベートN軟膏ASを塗らない方が良い理由については、こちらの記事にまとめています。合わせてご覧ください。
【薬剤師が解説】ステロイドの副作用まとめ【使う前に知っておくべき知識】ベトネベートN軟膏ASの副作用
ステロイドの塗り薬は(短期間での使用であれば)、副作用が問題になることは少ないです。
長期間かつ大量に使用した場合などに、長期大量使用による副作用が現れる可能性があります。
短期的な副作用
短期的な副作用には、以下のようなものがあります。
- 皮膚のかゆみ
- 皮膚が赤くなる
- 皮膚が腫れる
- 皮膚の炎症
これらの症状が見られたら、早めに薬剤師に相談または皮膚科を受診しましょう。
長期的な副作用
長期的な副作用には目の症状などがあります。
- 眼圧上昇
- 緑内障
以上のような目の症状が現れる可能性があります。
これは、まぶたや目の周りはステロイド薬の吸収率が高いことが理由です。
吸収率の高いまぶたや目の周りに、大量のステロイド薬を長期間塗り続けた場合に起こりうる副作用です。
これらの副作用は通常の治療の範囲内ではほとんど起こりません。
まとめ
- ベトネベートN軟膏ASはステロイドと抗生物質の配合剤です
- 皮膚の炎症や細菌感染(化膿)を防ぐ効果があります
- 比較的強めのステロイドであるため、皮膚炎を素早く治療できます
- アトピー性皮膚炎で使用する場合は、長期間使用せず、普段のお薬がなくなってしまったときなど、臨時的な使用に限定し、早めに皮膚科を受診するようにしてください
- 長期間のだらだら使いはしないようにします
- 5~6日使用して治らない場合は皮膚科を受診するするようにしてください
- お薬の使用について不安なことがあれば、なんでもすぐに薬剤師に相談しましょう
ステロイドの塗り薬で気をつけるべき副作用や対策についてこちらの記事で解説しています。実際にお薬を使用する場合、こちらの記事も合わせてご覧ください。
【薬剤師が解説】ステロイドの副作用まとめ【使う前に知っておくべき知識】最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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せいまる