ニキビの治療薬にはたくさんの種類がありますね。
どうやって使うのが一番効果的なのか気になると思います。
それぞれのお薬にはタイプごとに使い方に特徴があります。
正しい「塗りかた」と「塗る順番」を理解することはニキビを治療する上でとても大切です。
せいまる
この記事では皮膚科系薬剤師のせいまるが、ニキビの治療薬としてよく処方される塗り薬の分類や上手な使い方をまとめます。
この記事でわかること
ニキビ治療薬のタイプ
次の7種類の塗り薬がニキビ治療によく使用されます。(タップするとそれぞれの解説ページに移動します。)
これらのお薬は成分の種類別に3つのタイプに分類することができます。
- 抗生剤タイプ
- ピーリングタイプ
- 2成分を配合したタイプ
3つのタイプにより使い方が変わります。
それぞれのタイプ別に、上手な使い方のポイントを解説します。
抗生剤タイプのニキビ薬
抗生物質を有効成分にした薬剤にはダラシンT、アクアチム、ゼビアックスがあります。
抗生剤ニキビ薬の特徴
抗生剤を含むお薬はニキビの原因菌となるアクネ菌に対する抗菌作用をもちます。
アクネ菌を減らすことでニキビの炎症を抑える作用があります。
赤ニキビに高い効果を示しますが、その一方で耐性菌を作る可能性があります。
そのため、使い方に注意が必要になります。
耐性菌とは特定の薬剤が効かなくなってしまった細菌のことをいいます。
耐性菌ができるとお薬の変更が必要になり、治療期間が長引いてしまうことがあります。
抗生剤ニキビ薬の塗りかた
抗生剤ニキビ薬は基本的に赤ニキビの上だけに限定してピンポイントで塗ります。
ニキビ以外の部分に使用することは耐性菌を作るリスクを高めます。
顔全体に塗るのは間違った使い方です
また、ずっと塗り続けるのではなく、赤ニキビが治った時点で使用をやめるのが基本です。
抗生剤系まとめ
- できてしまった赤ニキビに有効です
- 赤ニキビの上だけにピンポイントで塗ります
- 赤ニキビが治ったら使うのを止めます
ピーリング系ニキビ薬
ピーリング系の成分を有効成分にした薬剤にはディフェリンゲルやベピオゲルがあります。
ピーリング系ニキビ薬の特徴
ピーリング系のニキビ薬はお肌のターンオーバーを調節して古くなった角質を除去してくれる効果を持ちます。
角質をはがれやすくすることで毛穴の詰まりを予防してニキビが増えにくい環境を整えます。
つまり、これからできるニキビを予防する効果があると言えます。
ピーリング系ニキビ薬の塗りかた
ピーリング系ニキビ薬はニキビとその周辺の広い範囲に塗る事ができます。
この点が抗生剤タイプの薬剤と異なるポイントです。
しかし、ピーリング系ニキビ薬は肌に刺激があるため急に広範囲には塗らないようにします。
最初は少しの量から塗り始め、様子を見ながら塗る範囲を広げて行きます。
刺激感などの副作用はよく見られますが、多くは一過性であり、日が経つにつれて副作用は軽くなって行きます。
少しの刺激でも、そのまま様子を見ながら使い続けて大丈夫です。
ただし、アレルギー症状や過敏症の反応が出ている場合もあります。
刺激感が強すぎたり腫れがひどくなるようでしたら再受診するようにしてください。
特にベピオゲルはこのピーリング作用に加えて殺菌作用も併せ持ちます。
殺菌のメカニズムも一般的な抗生剤とは異なるため、耐性菌を作りにくいという特徴があります。
そのため、顔全体に長期間にわたって塗ることが可能です。
ピーリング系のニキビ薬の刺激感は皮膚の保湿ケアによって軽減することができます。
ニキビ治療では保湿のケアがとても重要です。
保湿ケアの方法についてこちらの記事でまとめています。合わせてご覧ください。
【薬剤師が解説】ヒルドイドの効果と正しい使い方【保湿剤】ピーリング系まとめ
- できてしまったニキビの治療とニキビの予防が同時に出来ます
- ニキビ以外の部分に広く塗っても良い
- 使い初めに皮膚への刺激感が出ることが多いです
- 保湿と紫外線対策を行います
2成分を配合したタイプ
エピデュオゲルとデュアック配合ゲルは2種類の有効成分を配合したタイプの塗り薬です。
エピデュオゲルはピーリング系の成分のディフェリンゲルとべピオゲルの成分を配合したものです。
デュアック配合ゲルはベピオゲルとダラシンTゲルの成分を配合したものであり、抗生剤系とピーリング系の配合剤です。
異なるタイプの成分を配合しているのが特徴です。
分類まとめ
ニキビのお薬はこれらの表のように分類する事ができます。
抗生剤系 | ピーリング系 |
ゼビアックス | ベピオゲル |
ダラシンTゲル | ディフェリンゲル |
アクアチムクリーム | エピデュオゲル(ピーリング系配合剤) |
デュアック配合ゲル(抗生剤+ピーリング系の配合剤) |
抗生剤系とピーリング系では塗り方や塗る順番が変わります。
お薬の塗る順序
ニキビの塗り薬を塗る順序は塗る範囲を基準に決めます。塗る範囲が広いものから先に塗るようにします。
保湿剤>ピーリング系>抗生剤系
保湿剤→ピーリング系→抗生剤系
狭い範囲に塗る抗生剤のお薬を先に塗ってしまうと、後でピーリング系のお薬を塗った時に、ニキビ以外の部分に抗生剤が広がってしまいます。
また、ニキビの治療は保湿が大切になるので保湿のお薬も順序に組み込みます。
処方される保湿剤にはヒルドイド(ヘパリン類似物質)やプロペト(ワセリン)などがあります。
市販の保湿剤を選ぶときはノンコメドジェニック(ニキビができにくい)保湿剤を選ぶようにします。
保湿剤の効果的な使い方について解説しています。合わせてご覧ください。
【薬剤師が解説】ヒルドイドの効果と正しい使い方【保湿剤】同時に塗る場合の順序
- STEP.1洗顔しっかり汚れを落とします。ただし、肌を直接ゴシゴシこするのではなく泡で優しく洗顔をします。洗顔後は柔らかいタオルでこすらずに軽く抑えるように水滴を拭き取ります。
- STEP.2保湿洗顔または入浴後すぐに保湿を行います。入浴後5分以内が理想的です。顔全体に塗る場合の目安は人差し指の先端から第一関節までの長さです。(この量を1FTUといいます)
- STEP.3ピーリング系を塗るベピオゲルやディフェリンゲルを塗ります。ニキビの上にのせ、こすらずに薄く塗り広げます。
- STEP.4抗菌タイプの薬を塗る殺菌タイプのお薬を塗ります。ニキビの上にピンポイントでのせるように塗ります。
- STEP.5手洗い塗った後は手を洗います。
朝と夜に分ける場合
1日1回のお薬が2種類のときは朝と夜に分ける事ができます。
ピーリング系のお薬は紫外線対策の関係上夜の使用がオススメです。
例えばゼビアックスローションなどは1日1回の抗生剤のお薬であるため朝にゼビアックスローションを塗って夜にピーリング系のお薬を塗ります。
朝の洗顔後
- STEP.1洗顔しっかり汚れを落とします。ただし、肌を直接ゴシゴシこするのではなく泡で優しく洗顔をします。洗顔後は柔らかいタオルでこすらずに軽く抑えるように水滴を拭き取ります。
- STEP.2保湿洗顔または入浴後すぐに保湿を行います。入浴後5分以内が理想的です。顔全体に塗る場合の目安は人差し指の先端から第一関節までの長さです。(この量を1FTUといいます)
- 抗菌タイプの薬を塗る殺菌タイプのお薬を塗ります。ニキビの上にピンポイントでのせるように塗ります。
- 日焼け止めを塗るピーリング系のお薬を使用する場合は紫外線対策も朝に行います。こすらずに薄く塗り広げます。
- STEP.5手洗い塗った後は手を洗います。
夜の洗顔後
- STEP.1洗顔しっかり汚れを落とします。ただし、肌を直接ゴシゴシこするのではなく泡で優しく洗顔をします。洗顔後は柔らかいタオルでこすらずに軽く抑えるように水滴を拭き取ります。
- STEP.2保湿洗顔または入浴後すぐに保湿を行います。入浴後5分以内が理想的です。顔全体に塗る場合の目安は人差し指の先端から第一関節までの長さです。(この量を1FTUといいます)
- ピーリング系のお薬を塗るピーリング系のお薬をこすらずに薄く塗り広げます。
- STEP.5手洗い塗った後は手を洗います。
まとめ
- ニキビのお薬は抗生剤系とピーリング系に分けられます
- 抗生剤系のお薬はニキビの上だけにピンポイントで塗ります
- ピーリング系お薬はニキビとその周囲に塗る事ができます
- ピーリング形のお薬を使用する前に保湿剤も合わせて使用します
- 同時に塗るときは保湿剤→ピーリング系→抗生剤系の順に塗ります
ニキビ治療をタイプ別にまとめて解説しています。合わせてご覧ください。
【薬剤師が解説】ニキビ治療薬まとめ!塗り薬&飲み薬【2019保存版】ニキビの治療ではお薬を使った治療も重要ですが、ニキビの原因となる生活習慣の改善も同様に重要です。ニキビの原因とその対策についてこちらの記事でまとめています。
【薬剤師が解説】ニキビの原因はコレ!原因別の対策を総まとめ!最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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せいまる