保湿剤であるヒルドイドの美容目的の使用が話題になったのは記憶に新しいと思います。
著名人などが美容目的で使用していることをSNSなどに掲載したことなどが発端となり、話題になりました。
究極のアンチエイジングとまで煽られるようになりました。
そして、ヒルドイドを目的に皮膚科を受診して医療保険を使用して負担金を軽減するという行為が問題になりました。
流石に究極のアンチエイジングは言い過ぎだと思います。
しかし、高い保湿力を有していることからスキンケアに有用なことは事実であります。
スキンケアの基本は保湿と言っても過言ではありません。
そのため、皮膚科ではよく出る処方薬であり、乾燥や炎症などの皮膚の症状に悩む方の強い支えとなっています。
そこで、この記事ではヒルドイド(またはヘパリン類似物質を含む塗り薬)を病院に行かずに購入することができるのかについて解説します。
せいまる
むしろ、保湿剤は日頃のスキンケアに取り入れるには適していると思います。
この記事でわかること
はじめに
このサイトは薬剤師である管理人「せいまる」が、疾患の知識や、医師により処方される医薬品または一般用医薬品の正しい使い方などの解説するためのブログです。
処方箋医薬品の購入を推奨する目的は一切ありません。あらかじめご了承ください。
また、お薬は必ず指定された用法用量を守って使用してください。
ヒルドイドは病院に行かずに購入できる?
それでは本題に入ります。
結論から言いますと、「基本的には」ヒルドイドを病院に行かずに購入することはできません。
しかし、ヒルドイドの保湿有効成分である「ヘパリン類似物質」を同じ量含むお薬は一般用医薬品(処方箋なしで薬局で買えるお薬)として販売されています。
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実際に、ヘパリン類似物質を含む医薬品がヒルドイドのジェネリック医薬品として使用されています。
一般用医薬品は医師の処方箋が必要ありません。
そのため、ドラッグストアや薬局、ネットショッピングなどで購入することができます。
また、保険も使用しませんので好きな時に好きな分だけ購入することができます。
ヘパリン類似物質とは
ヘパリン類似物質はヒルドイドシリーズに代表される保湿剤に含まれる有効成分です。
水分を引きつける作用や血行を促進させる作用があり、高い保湿力を持っていることが特徴です。
皮膚科の領域では塗り薬として、アトピー性皮膚炎や皮脂欠乏症、乾燥肌などに使用されます。
他にも、ニキビのお薬による副作用を軽減する目的などにも使用され、皮膚科の治療薬のスタンダード的存在とも言えます。
ヘパリン類似物質の薬効を少し詳しく紹介します。
空気中の水分をたくさん引きつけ、肌の潤いを保ちます。 この高い保湿効果によって、皮膚の天然保湿因子が増加すると考えられています。 天然の保湿因子が増えると角質の構造が修復されやすくなり、皮膚のバリア能が回復します。
ヘパリン類似物質には、血行を促進する作用があり、皮膚の血行が良くなります。 血流量が増えることにより皮膚の代謝が活性化され、傷跡などが治りやすくなると考えられています。
これらの効果を有しているため、ヘパリン類似物質を有効成分として、様々な医薬品が発売されています。
ヒルドイドと同等にヘパリン類似物質を0.3%含む一般用医薬品も発売されています。
これらの一般用医薬品については記事の後半でまとめて紹介します。
保険利用の3割負担のヒルドイドはお得?
一般用医薬品を全額負担で買うよりも、病院を受診して3割負担でヒルドイドをもらったほうが一見お得な気がするかもしれません。
しかし、保湿だけが目的であればお得とは言えないと思います。
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その理由を解説します。
受診料や調剤料がかかる
実際には皮膚科の受診料金に薬局での調剤料金などが発生するため、意外と高額になります。
- 皮膚科でかかる費用には診察料、処方せん発行料などが含まれます。
- 薬局でかかる費用には調剤基本料、調剤料、薬学管理料などが含まれます。
医療機関によって受診料金や調剤料金は異なりますが、決して安い金額ではありません。
1本 (25g)のヒルドイドを調剤してもらうために、およそ5000円程度の料金が発生します。
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また、家の近くに医療機関がない場合は交通費等も発生します。
待ち時間による時間的損失
金銭的な面もありますが、何よりも待ち時間による時間的損失が大きいと考えられます。
まず、医療機関に行くまでに時間がかかります。
医師の診察のために病院で長時間順番待ちをしないといけないこともあると思います。
さらに薬局でもお薬を調剤してもらうまでに待ち時間が発生します。
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ただし、受診が推奨される場合もあります。
皮膚の状態を医師に確認してもらいたい場合や、保湿以外の治療が必要な場合は受診をお勧めします。
公的医療保険の不適切な使用は良くない
先ほど1本のヒルドイドを調剤してもらうために約5000円程度の料金が発生することを紹介しました。
そのうちの3割の約1500円が自己負担・残りの7割の約3500円が公的医療保険から支払われます。
せいまる
公的医療(健康)保険というものは本来であれば、国民みんなで少しずつ保険料を負担し、病気を治療する方の経済的な負担を軽減するためにある制度です。
当たり前のことですが公的医療保険の財源には限りがります。
医療費は毎年増加しており、国庫金(税金など)からの負担も膨れ上がっています。
このまま医療費が膨らみ続けると、現在の公的保険制度が機能しなくなる可能性もあります。
保険料や税金が高くなったり、負担金が3割以上に設定されてしまうかもしれません。
せいまる
それでは本当に保険を必要としている方が困ってしまいます。
病院を受診するメリット
もちろん病院を受診するメリットもあります。
皮膚科の専門医が皮膚の状態を確認した上で処置やお薬の選択ができます。
少しでも皮膚の状態に不安があるときは皮膚科への受診をお勧めします。
ヘパリン類似物質を含むお薬の例
保湿有効成分としてのヘパリン類似物質を含む一般用医薬品を一部紹介します。
ここに荒れているものは全てヘパリン類似物質を0.3%(ヒルドイドと同量)含んだ一般用医薬品でありますのでヒルドイドのような保湿効果が期待できます。
HPクリーム
ヘパソフト薬用保湿ローション
ピアソンHPローション
さいき(Saiki)治療ローション
などが挙げられ、ネット通販やドラッグストア、薬局で購入することができます。
これらの他にも様々な製薬会社から発売されていますのでドラッグストアなどで薬剤師や登録販売者に聞くとラインナップを案内してもらえます。
せいまる
まとめ
医療(健康)保険には限りがあります。
せいまる
特に皮膚に心配はないけれども美容に興味があるという理由で保湿剤を病院で処方してもらうのは金額的にも時間的にもお得とは言えません。
保湿剤の処方のために病院や薬局で長時間待つのは退屈だと思います。
皮膚科の受診料や薬局の調剤料が勿体無いですし、時間もかかります。
せいまる
しかし、皮膚の状態に不安がある場合に関しては早めの皮膚科の受診をお勧めします。
専門医の処置や適切なお薬の処方により、症状をより早く改善することが期待できます。
治療費がかかってしまっても保険が使えますので負担は少なくて済みます。
- 皮膚の症状について心配がある
- 乾燥が強めで1年中保湿剤が必要
- 乾燥肌以外にも炎症やかゆみなどがある
- 美容用に興味があり保湿剤を使用したい
- 皮膚の状態に心配は特にない
- 冬になると皮膚が乾燥するので保湿クリームが欲しい
保湿はスキンケアで最も重要と言っても過言ではありません。
保湿剤は塗り方や塗るタイミングなどによって効果が変わります。
保湿剤の上手な使い方はこちらの記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
【薬剤師が解説】ヒルドイドの効果と正しい使い方【保湿剤】効果的に保湿剤を使いこなすことができると、気になる皮膚の症状も改善されやすくなります。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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せいまる